今更なんですが読了しました。
凪良ゆうさんは大好きな作家さんなのですが、近くの某書店でなかなか入荷してくれず、気が付けば発売から1年以上経過しててびっくりです。
麻々原さんのイラストがまた美しいですね~。
主人公は高校生の文人。裕福な家庭に生まれ家族仲もよく、容姿端麗頭脳明晰という優等生。しかし自分がゲイであることに気づいてからは、その劣等感を抱えたまま誰にも言えず一人で苦しんでいました。
そんな時ネットで出会ったのが「アルタイル」という一人の男。
掲示板で出会う男たちはみなすぐに会おうとか性的なものを匂合わせるのに、彼はただ趣味の話をするだけで、あきらかにほかの人とは違いました。
そんなアルタイルと、自らを「ベガ」と名乗りメールをするようになった文人ですが、ある出来事からアルタイルと会うことになって……。
もうめっちゃ切なくて……・
途中でキャラクター達に何度もイライラさせられましたが、終わり良ければ総て良し。
恋は簡単に諦められるものじゃなくて、苦しいものなんだなぁとあまずっぱい気持ちになりました。
初めて会った瞬間に恋に落ちる二人。
しかしアルタイルには恋人がいました。
ダメだとわかっているのに惹かれあいますが、アルタイルは文人を拒否します。
これ以上好きになってはいけないから。
文人もその気持ちを汲んで二度と会わないと決めますが、二人は最悪の形で再会してしまいます。
アルタイルは文人の姉・夏那の婚約者・新開でした。
閉じ込めた思いが再び溢れるけどどうしてもかなわない相手で、文人は苦しみます。
新開は本当にひどい男だ、というのがここまでの私の感想でした。
お互い好意を持っているのをわかっているはずなのに、それを文人が抑えこもうとしているのに、年上である新開がその気持ちに揺れるんですよ。
ツラいのは文人のほうなのに、優柔不断な態度を見せるから文人もふっきれない。
そんなときに現れたのが、文人の大学の同級生・神崎。
自分もゲイだから文人の気持ちがよくわかる、と文人を救ったかと思いきや、新開の前で文人に告白。
麻々原さんのイラストのおかげで神崎がすっごくかっこよく思えたのですが、それもどうやら勘違いでした。
どうやら家庭環境が複雑な神崎は愛情に飢えていて、付き合うことになった途端文人に依存して束縛しまくり。
「神崎を好きになろう」と文人は頑張るけど、好きでもない相手と付き合うのは相当大変でした。
これは神崎も神崎だけど、文人も文人だわ。
最初、アルタイルはベガのことをきっぱりと断りました。優柔不断な態度をとっていたらお互いも、アルタイルの恋人のことも傷つける結果となるから。
でも文人と新開として再会してからは、新開は優柔不断な態度で文人を苦しめ、文人は文人で神崎に優柔不断な態度をとり、変に期待を持たせてしまう。
文人も自分ではわかってるはずなのに、新開から逃げたくて神崎と惰性で付き合ってしまいました。
誰が悪くて誰が可愛そうなのかもはやわからないのですが、全員がバカだなぁと思います。
……というか、一番の被害者は夏那ですね。
そして神崎が現れたことにより新開は文人への思いを再認識させられることになります。
本編でたった一度のラブシーンは美しいけれど切ないものでした。
なんでこんなにお互い好きなのに結ばれないんだろう。
家族とか世間体とかすべて捨てられたらいいんだろうけどそういうわけにもいかないですしね。
あー切ない……
その後、二人がどうなったのかはぜひその目で確認していただきたいです。
主人公たちには何度もイライラさせられたけど、やっぱりこの二人が愛しいです。
純粋で誠実だからこそ、こんな遠回りばかりの恋をしたんでしょう。
アルタイルとベガとして、二人は最初から恋をしていたんだなぁ。
ちなみに、巻末に神崎のSSが掲載されています。
神崎にはきっと文人みたいな相手よりも、グイグイ引っ張ってくれて包容力のある男が似合ってるんだ。
きっと以前の恋人に対しても攻めてたんだと思うけど、お前は間違いなく受だよ、神崎くん。
再受のオーラが出てるから!
いつか神崎主人公のスピンオフが見てみたいですね。きっといいツンデレ受だと思う。